108-おそるべし、「楽しむ力」

美恵先生

2011年09月20日 18:00

9/17(土)、公務員科の小林貴裕君が受付に来ました。
「おっ、明日は大事な試験日だね! 頑張ってね」と声をかけると
いつもの貴裕君らしからぬ返事が帰ってきました。

「もう、緊張しちゃって…こう見えて、ノミの心臓なんですよ」
(貴裕君は、かなり体が大きい学生です)

…笑いながら言う貴裕君でしたが、確かに表情が硬い感じです。

今まで毎日夜8時まで頑張って…
休みの日も学校に来て勉強したりして…
今までにこんなに頑張ったことがない、というくらい
必死で勉強をしてきたのも、
自分の志望する公務員になりたいから。

毎日毎日勉強をしながら、「なりたい!」という思いが
どんどん募っていったことでしょう。
もう嫌になることもあったでしょうが、
そのたびに自分を奮い立たせて頑張ってきたことでしょう。
緊張するのも当然なのかもしれません。

受付の先生たちも集まってきて
みんなで「リラックスリラックス~!」
「楽しんでおいでよ!」なんて声をかけます。

たまたまインテリア住環境コースの平林玄気君も来て、
励ましてくれました。
コースは違いますが、2人とも「比田井塾」の塾生です。

「今まであんなに一生懸命に頑張ってきたんだから、
 自信をもって、頑張ってください!」

そう言いながら、力強い握手!
いいですねぇ~…。
2人とも頑張っているからこそ、あんな握手ができるんですね。
そしてみんなで記念写真。


貴裕君が手に持っているのは、私が渡した新聞記事。
ちょうど、試験に向かう学生たちに伝えたい内容だったのです。
新聞記事のコピーに、受付の柳澤先生にも応援メッセージを書いてもらい、
私たちも応援の気持ちを込めて、
笑顔ハンコをポンポンと押して渡しました。

(ちなみに、このハンコは、喜多川泰先生の学習塾、聡明舎の
 井出先生が作ってくださった消しゴムハンコです!)

↓ お渡しした新聞記事はこんな内容でした。

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(前略)

先日、福岡市でひすいさん(注:ひすいこたろう氏)の講演があった。
そこで教えられたことがある。
楽しい人生を送りたいと思っているなら、
「楽しむ力」を持っていないと、その思いは達成されないということを。

さまざまなドラマを生んできた甲子園だが、
ひすいさんは、歴史に残る伝説の試合の一つを紹介した。
それは1998年の夏、エース松坂大輔率いる横浜高校と
高知県の明徳義塾高校の一戦だ。

前日の準々決勝で横浜高校はPL学園と戦い、勝利した。
17回を一人で投げ抜いた松坂の肩は腫れ上がり、
この日の準決勝の登板は見送られた。
代わって2年生の投手が2人で8回まで投げた。

しかし、相手は名門明徳義塾。
2人の投手はバカスカ打たれ、8回表が終わったとき、
横浜高校は6対0で負けていた。

あと2イニングで挽回するのは誰の脳裏にも不可能に思えた。

しかし、8回裏の攻撃から何かが変わった。
ノーアウトからいきなり2点を返した。
その後、ツーアウトになり、1塁と3塁にランナーを置いて
次のバッターが豪快なヒット。2点を追加し6対4に。

9回表、3人目の投手としてマウンドに立った松坂は
相手を0点に抑え、最後の攻撃に望みを繋げた。

盗塁、バント、何をやってもうまくいった。
横浜高校はさらに2点を追加し同点に追いついた。
そして、ツーアウト満塁の状況でセンター前にサヨナラヒット。
その瞬間、6点差はひっくり返った。

翌日の決勝戦でもその勢いは止まらず、
横浜高校は見事、真紅の優勝旗を手にした。

それにしても準決勝の8回裏、
横浜高校の攻撃が始まる前に何が起きたのか。

あのとき、円陣を組んだ選手たちに
渡辺元智監督は一言こう言った。

6点もの差を付けられ、
絶望の淵にたたずんでいる選手たちの心を揺るがし、
彼らを笑顔にした監督の言葉が、これだ。

「もうお前らの好きなようにやれ。
 思いっきり甲子園を楽しんでこい!」

ここで思い出すのは、
記憶の新しい女子サッカーW杯の決勝戦だ。
なでしこジャパンは競合アメリカを相手に互角に戦い、
PK戦に持ち込んだ。
いったん選手たちを集め、緊張している彼女たちに
佐々木則夫監督が笑顔で贈った言葉もこれだった。
「楽しんでこい!」

とても楽しめるような状況ではないのに、
その状況を楽しむとは一体どういうことだろう。

本来、「楽しむ」というのは
レジャーや余暇活動にぴったりの言葉だ。
緊迫した状況下で「楽しもう」なんて言うと、
周りから不謹慎だと思われかねない。

「楽しむ力」とは、決して遊ぶことではない。
過去に頑張ってきた自分を信じて、
どこまでも自己を肯定できること、そんな力である。
だから、「楽しむ力」の「力」は能力やスキルなのだ。

とても楽しめるような状況ではないのに、
その状況を楽しめるなんて、
超能力でスプーンを曲げるよりも、もっとすごい能力ではないかと
ひすいさんは言っていた。

精神時に緊張すると筋肉まで緊張し、
体内にある10万キロという、
地球を二周りするほどの長さの血管が収縮し、血流が悪くなる。
そうなると体が思うように動かなくなる。

まさに、ピンチになったとき、困窮したとき、
苦しいとき、悩んだときがそうだ。

そういうとき、ひすいさんは自分に言うセリフを決めている。
その言葉が、これだ。

「いよいよ面白くなってきたぜ」

そう言ってニコッと笑って、小さくガッツポーズをする。
笑うと、その瞬間、血流が増大し、筋肉が緩み、
潜在能力が120%発揮できる、とか。

おそるべし、「楽しむ力」

みやざき中央新聞 平成23年9月5日(月)第2427号
 社説(編集長 水谷謹人)より引用)

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貴裕君はじめ、今まで頑張ってきた学生たち…。
いよいよ本番、本試験ですが、
たくさん楽しんできてほしいですね!

きっと、「楽しめれば勝ち」
「楽しんだ者勝ち」なんだと思います!

難しい問題にあたって、「どうしよう~!」と思った時には
ぜひ頭の中で 「えらいこっちゃ! えらいこっちゃ!」と叫んでみてください。
きっと、ホッと緊張がほぐれることでしょう!^^

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